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SPC投稿小説
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 少年はポケットから、片手に収まるくらいのボールを取り出した。赤と白のツートンカラーで、小さな穴がひとつ空いている。その穴を「ユウナたんハァハァ」に向けて、
「ゲットだぜ!」
 と叫ぶと、そいつはボールの穴にシュルシュルと吸い込まれていった。
「ようし、この調子でガンガン探すぞぉ!」
 再び解散した祈り子たちは、“ティーダの想いのかけら”を探して駆けずり回った。

  ☆ ☆ ☆

 ビサイド島に戻ってきたユウナを待っていたのは、誰あろう、愛しい恋人(未満)の金髪の少年、ティーダだった。飛空挺の入り口が開くのももどかしく、途中で飛び降りて、彼の元へと走り寄る。
 力一杯抱きしめた。彼は少し困ったように頬を赤く染めて、自分を見下ろしている。少し幼い顔立ちと、見た目よりがっしりした身体。潮の香りに混じって、男っぽい汗の匂いがする。ぜんぜんイヤじゃないのは、やっぱり好きだからかな。そんな風に思って、ユウナもまた照れくさくなる。
「キミ……なんだよね?」
 嬉しくて今にも泣きそうで、声が少しかすれた。
 少年は、そんな彼女の様子を見つめて……ニヘラァっとだらしなく笑った。
「ほ、本物のユウナたんだぁ! ハァハァ」
 なんか微妙に違う! と思ったが、すでに彼はユウナの手を引いて、浜辺に向かって走り出していた。
「おっしゃ、ヒロインも来たことだし、早速この俺サマ、ジェクト様の復活祝いを開催するぜぇ!」
 自分の名前まちがってるし!
「ちょちょちょちょっと、キミ、本当に本物なの〜!!??」
 思わず叫んだユウナに、ふと真顔に戻った彼が、哀しそうに言った。
「俺だってわかんないッスよ。ユウナが信じてくれないなら、俺は絶対、本物にはなれないんだから」
「あ、ごめんなさい。私ったら……」
 思わず謝ったユウナだったが、彼は途端に「スピラは死によって救われるぅ!」などと意味不明な叫びを上げながら、浜辺に集まっていた人々に突っ込んでいった。
「ヨッ久しぶりマッシュ、ついに父親だってな?」
 違う、そいつはワッカだ。
「なんか俺とそっくりなヤツがラスボスだったんだって? そいつが映ってるマテリア、あとで見せてくれよ」
 マテリアはFF7だっつうの。
「おっとその前に、他の方々にもエイブスエース復活の挨拶をしに行かなくちゃ! なあリノア?」
 彼は嬉しそうにユウナを振り返ると(リノアって誰?)、
「まずはルカあたりッスね。おりゃ、ルーラ!」
 もはやゲームタイトルすら違っているティーダもどきは、顔をヒクヒクさせているユウナともども、光の粒子となって彼方へと飛び去っていった。

「ま、いいんじゃないの」
 ルールーが赤ん坊の一人をあやしながら、まるで他人事のような口調でそう締めくくった。生まれてみたらなんと五つ子!という大難産を乗り越えたあとで、彼女はそれどころではなかったのである。

                        
おしまい♪