魔の宝石に導かれ
立て続けに二発、俺のすぐ横の床に銃弾が撃ち込まれた。銃撃音が廊下の壁に反響してうなりを残し、辺りには火薬の匂いが立ち込める。
その後に俺の所に届いたのは鉛の弾ではなく、低いがよく通る男の声だった。
「出て来い。娘を返せば命だけは助けてやる」
「こっちだって仕事なんでね。悪いが、アンタの都合に合わせてやる義理はないさ」
当然のように相手の申し出を拒否しながら、俺は胸中で毒づいていた――くそったれが!
身を隠している壁から身体を出さないように気を付けながら、俺は隣にいる人物の方へ振り向いた。
少女。とりあえず簡潔にそう言っておこう。
彼女は紅い絨毯の引かれた床に膝をつき、その上で軽く両の手を組んでいた。そして何を考えているものか、ニコニコと微笑んでこちらを見つめている――それこそ、俺の気も知らずに、だ。
俺は再び首を巡らせ、ここからでは姿の見えない銃撃者に意識を向ける。
この状況を打破できる方法を、頭の中から探しだす必要があるが……
その前に自己紹介が必要だろう。
俺の名はフォン。人が「魔術師」と呼び、「宝石使い」と呼ぶ、そんな職業の人間だ。
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