長く、続く、この道の向こうに
星が、天に瞬く。
幾億もの星々の光が、まるで自分だけのものかのように、輝く。
手を伸ばせば捕まえられるんじゃないかと思うほど、美しく、どんな宝石よりも、美しく輝く。
星は輝く。
星は誰の為にでもなく輝く。
まして光を浴びる頃には、星はとうに塵となっていることに、いったい星を見て眠る何人が知っていることなのだろう。
星は儚く、美しく輝き、愛しい(かなしい)までに美しく輝く。
哀しいまでに儚く散り、民々に癒しと、希望を与える。
きっと、あの人のように。
「また、ね?」
笑いながら、彼女は言った。
幼子のような無邪気さで、それにしては芯の通った声で。
初めて聞いた気のしない、優しい声で。
エアリスの声は、そう言った。
最期に。確かに最後にそう言った。
秋なのかな。
黒髪を風になびかせながら、漠然とティファはそう思った。
カームの町近くの、小高い丘。一人そこに腰掛け、空を仰いでいた。
もうすぐ、そんなことしている余裕なんかなくなるから。見納めというやつだ。
もっとも、どこまでも抜ける青空、と言うわけにはいかないが。地球の厄災、メテオが、空を赤く燃やしている。
「な〜にしんみりしてんのさ!」
背後からいきなり背中を叩かれる。とにかく痛かったが、反射的に振り返ると、よく見慣れたショートヘア。
「ユフィ」
「あーもう元気ないな〜!!こうピシッとできないもん!?」
「ご、ごめん…」
大げさにジェスチャーを付けながら、はきはきと話すユフィ。
それに頼りない答えを返すティファに、また大きく肩を落としてため息をついて見せた。
「ティファまでそうだとさー、やんなっちゃうよ。ヴィンセントは年中無休でそんな感じだけどさ」
笑いを取ろうとしつつ、自身も自分で言った事に声を殺せなくてからからと笑った。
「ティファさーん!ユフィさーん!」
遠くから、ケット・シーが跳ねながら向かってくるのが分かる。
その背後から付いてくるのがヴィンセントというのを見つけて、あわててユフィが口を紡ぐ。
それを見たティファが笑うと、満足したようにニッと笑った。
「クラウドさん見ませんでした?宿とろうにもクラウドさんおらへんかったらアカン思いましてね」
「こっちの方に来てないけど?」
「おかしいなあ?町はバレットさんなんかと探したんですよ?おまけと言っちゃあ何ですけど、ヴィンセントさん代わりに見つけてしまいましたわ〜」
けたけたとケット・シーは笑ったが、チャッという寒気のする音がヴィンセントからするとぴたりと収まった。
「じゃあどこ行ってしもたんでしょう?町の中はバレットさんとシドさんが探してくれてるんですけど」
ケット・シーが首をひねると、一時沈黙が満ちる。
ティファやユフィは、思いつく限りの場所を言ってみるが、そこは全て一度ケット・シーが行ったところであった。
考え込んでいる時、ティファは上を仰ぐ癖がある。
顔を上に上げると、急にぬっと、鉄の塊が視界に飛び込んできた。ややさび付いた感じの、ブロンズ色。
かくしてそれはヴィンセントの腕だった。
何かを見つけたかのように、その長く伸びた熱を忘れた腕は、ある一点を無言で指した。
一同の視線が、その先に集まる。
延長線上にあったのは、数十メートル先に留めてあるハイウィンドのデッキ。
ちょうど最後尾に、金色の針が数本確認できた。
仲間内で金色の髪を持つのは彼だけで、それに加えてあの個性的すぎる髪型が見えれば、彼だと確信するには十分な条件だった。
他に人がいる様子はなかった。一人で、彼はデッキに座っていた。
「あーんな所じゃ、見つかるはずありませんなあ」
今までの苦労を考えて苦笑しながら、ケット・シーは言った。
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