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SPC投稿小説
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純潔



タカサコユリには姉が居る。
両親は居ない。
母親は三年程前に死んで、本当に本当に母を愛していた父はそれから少しして姿を消した。
未だもって父の行方は知れない。
だからタカサコユリには姉しか居ない。

良くある話だ。
ユリの手に在る拳銃を除けば。

ぎゅ、と握った。
冷たい。
重い。
硬い。
此の銃は何と言うのだろう。

構えてみた。
三十秒で腕が疲れた。
そんなものだ、ユリの腕は鍛えてない。
女子高生には限界だ。

それでも、それでも。
やらなければならない事。
どうして?

「お帰りなさい、ユリ」

彼女は怒らない。
彼女は泣かない。
何時だって完璧。
何時だって優しい。

「お帰りなさい、ユリ」

自分の名前が嫌いだ。
百合の様に折れ曲がったココロ。
姉には届かない。
名前で呼ぶのは彼女だけ。

「お帰りなさい、ユリ」

帰りを待つ人が居る事はどれ程の重みだろう。


握る腕。拳銃。
奪うのは命?未来?







何時何処見つけた其の拳銃。
何時か何処かで見つけた此の拳銃。
草叢に落ちていた?
道端に転がっていた?
其れとも天から降って来た?
良く覚えていない。そもそも動くの?

警察に届けなきゃ
取られるよ?
持っとかなくちゃ
何の為?

最初に浮かんだのは学校の先生、駄目駄目駄目。
次に浮かんだのは父さん、無理無理無理。
最後に残ったのは姉さん、嫌嫌嫌。

大好きで大嫌いな姉さん。

彼氏と居る時に見つかった、あの時の顔。
微笑。

「―――頑張ってね」

結局別れた。
だってあんな顔をされたら。

「お前の姉さん綺麗だよな」

ええそうでしょう、私の自慢なの。
ええそうでしょう、私と違って。

「高迫さん?」

ぼぅ、としていた其の手に冷たい感触。ああ思い出した私は私は。
先生が聞く。
心配そうな顔で、何気無い顔で。
顔なんて嫌い。

「どうしたの?」

今から姉さんを殺すの。
今から私を殺すの。
今から全てを―――

「いえ、何もありません」





放課後火曜日家の前。トビラ。
何時までだって迷うから決めよう、此れさえ言えば止めよう。此れさえ言わなきゃ止めよう。
けれど、だから。