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SPC投稿小説
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偽ミストラ




 人はその中で唐突と言う、人はその中で驚愕と言う、人はその中で運命と言う。
 しかし世界の流れは恙無く普通だ。時空はけして歩調を変えず、ひたすらに続きへと続いてるだけなのだ。時に星の輝きなる一秒に、百年以上の意味を込めるのは、意思。
 人は人ゆえ人として、永遠を製造し、一瞬を鋳造した。限りない喜びを、終わらない苦しみを、夢のような一時を、永久に願う貴方への愛を。
 これより語るは、そういう意思。
 人生経験。四人と、一匹? の(少なくとも年齢的には)うら若き乙女でありながら、数量で換算するとしたら非常識な程に密度が釣り上がる。例えばそれの表れは、酒場で語り合う思い出、付けていたとしたらの日記の厚み、心の重量。
 日々は消して幸せからは遠く――雨風どころか石すらも、壁とて城とて王だろて、世界に対した破壊録、
 ――それは神の手よりも遠い美しき人間戦車隊
 世界創造を刮目したくば、それに死すら厭わぬならば、彼女達に刃を翳せ。死の間際で見るだろう、真実とは表裏一体、光は影、創造は破壊。
 さぁ、遠からん者の鼓膜は焼け、近くば目は塞がれる。
 瞼に降りた死の闇の中、恐れ抱く程に輝かしい光を見る事になろう。
「私が絶対に許せない物、何か知ってる?」
 直立した、燃えるように紅の女の影。「青臭いネギとしょうもない男、ネギの背負った男なら塵一つ残さない所だけど、貴方は唯の男だから、半殺しで済ませてあげるわ」
 剣山の様に弾け飛んだ木の床で、踊るように語るその影、に、
「三日考えた割には今一の決め台詞なのら〜」
 半分壊れてるが、半分壊れてない部分のテーブルにつき、あんこ玉を口に含んだ低い背の影。こちらは色を言うより、白衣とメガネが際立つ少女。思わぬ横槍だったのか、燃えるような影は顔を崩した。
「今一って何よう、私の乙女っぽさが充分出てるじゃない」
「乙女の欠片も無い癖、にぃぃぃっ!?」
「黙りなさい、蝿」
 握りつぶしてるのは蝿程では無いが長さは28cmの緑の影ていうかかわいらしい精霊じゃんそれ人間のサイズに戻したら三対数はぼんきゅっぽーんだろうなぁってそうじゃなくやばいやばい泡吹いてるし顔がどんどん青ざめていってるし、
 ともかく逃げるなら今の内、虫のように這いながら出口への距離を詰め、やにわ立ち上がり一気に外への扉を揺らし――
 電光石火が顔面で弾ける。元倒れていた位置を超えて、赤い影の所まで飛ばされ、ぶつかる、
 剣の柄。
 鼻がめきりと折れ、男はもう一度転がった、響く断末魔に声かけるのは黄色の見事なプロポーション、「まだまだこんなものじゃ足りないでしょ」
 まるで放たれた直後の銃口、微かなのろしをあげる拳を突きつける、格闘女。
「随分とこの子達苛めて来たみたいだから」
「……ヴァン、そりゃ地下のその子達助けてきたのは良い事だけど」
 男の頭上越しに指をビシィっと突き立て、
「その女の子達がなんか顔が上気して貴方にしだれかかってるのはどういう事よっ!?」
「時間があった訳だし、ちょっとね」
「ちょっとって何をしたの、何を」
 嫌な汗を浮かべながらうなだれる影、であったが、
「……もう、解ってるわよ、あれこれ言い合ってる場合じゃないって」
 そう彼女は独り言を、否、剣に対して何かを言った。
 だが、どちらにしろ疑問は許されないのだろう、この男は。
「田舎浮き大陸で、更に人里外れた一軒の酒場、」
 そこで赤い影は――散乱した床の上から、一本、酒瓶を拾い上げた。片手で器用に蓋を開けると、水割りもカクテルも捨てて、直に飲んだ。
「ぷはぁっッ。……こんだけ良い酒揃えてるんだから、さぞかしもうかるんでしょうねぇ、追剥と、人身売買ってのは。だけどぉ」
「私たちを襲ったのが運のツキのら」
「ちょっとリューイ! 私のセリフッ!」「誰が言っても今一なのら〜」「筋肉バカに文才がある訳ないしね」
 妖精と白衣に対する口喧嘩、その相手の隙っぽい時間は結構あったが、逃げるにしても後門には、「たっぷりと痛めつけなきゃね?」
 最初見たときゃ上玉とほくそえんでた女、今は脳まで凍りつく恐怖、
「さぁてと、ガソリンも回ってきたしぃ」
 そして前門が、酔っ払い始める。逃げようとすると、手が、手にあたった。そうだ、そうなのだ、今この酒場の破壊は、建物だけでなく、
 命も、
「いっちょ連れて行ってあげますか」

 仲間百人を、手飼いの魔物すらも、
「地獄に、」
 この床にぶち撒けた女――

「落ちろぉ!」